西沢稲荷神社(筑波山七稲荷)|狐が守る筑波の丘、稲の神

茨城県
西沢稲荷神社(筑波山七稲荷)

苔むした石段を登り、御影石の玉垣に囲まれた小さな覆屋(おおいや)の下に、朱塗りの本殿が息づいている。三枚目の写真——観音開きの扉の前に一対の白狐が座しているのが、この場所の素性を静かに告げている。狐は稲荷神の使い(神使)であり、ここが稲荷の社であることを、板に頼らずとも配置と像が語っている。社名は現地の由緒板からは確認できず、座標のすぐ脇(約18m)に立つ「西沢稲荷神社(筑波山七稲荷)」の名を採った。筑波山の裾に点在する「七稲荷」のひとつ、と伝えられる小社である。

まず土地から読む。ここは筑波山塊の南麗、山と里の境目にあたる高台だ。石段と石鳥居で一段持ち上げられた立地は、湧水と扇状地の谷筋を見下ろす位置に多い。稲荷が全国で最も数を増やしたのは、田の実り——稲(いね)が成る「稲成(いなり)」の神格ゆえである。

そこで、名の下に畳まれた声へ降りていく。稲荷の主祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)——記紀にみえる食物・穀霊の神である(伝承)。

着地は、静けさに置きたい。筑波の七稲荷は、大社のような賑わいを持たない。米と土着の信仰を、この小さな朱の扉はひとつに迎え入れている。

記録した写真

📍 36.212094, 140.098175(日本、〒300-4352 茨城県つくば市筑波1012)



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