
雑木林の湿った土の匂いのなか、瓦を葺いた小さな覆屋(おおいや)が一つ、苔むした基壇の上に据えられている。赤白の鈴緒が垂れ、鈴が二つ、静かに揺れている。その前に、二体の木彫りが並ぶ——左は打ち出の小槌を掲げ、袋を負い、福々しく笑う大黒天。右は片手を高く上げ、歯を見せて笑う恵比寿とおぼしき像だ(像容からの推論)。足元には小さな招き猫、真ん中には「賽銭箱」の文字。奥の格子の中には、さらに小さな童子めいた像が幾体も並ぶ。ここは、常総市大塚戸の丘に鎮まる一言主神社の境内、その一隅を担う小さな祠である(社名は現地証言・GPSによる)。上部の木札には文字が掲げられているが、光と風化で読み切れない——ここは埋めず、判読不能として置く。
まず土地から読む。この一帯は鬼怒川と小貝川に挟まれた常総の低地で、水と縁の深い豊穣の地だ。水が集まる所には米が実り、実りが集まる所には市が立つ。市の神、商いの神——恵比寿や大黒が祀られるのは、この土地の理(ことわり)にかなっている。
📍 36.012494, 139.926894(日本、〒303-0045 茨城県常総市大塚戸町303 0045)


コメント